★ 隷属傘下

おはようございます。晦です。
え、なに、夜更かし？いえいえ、さっき起きたんですよ

↓星のカービィ（はるかぜとともに）の後日談。の、よう、な、もの
　１週間前に書いたもの。ちょっと長く感じる方もいるかもですよよよ
　数日間、連続で載せてみることにしようかなとね

　読まれて不快になる要素は無いようにできている…はず

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　春は暖かい。光は差し込み、風は吹く。
　体を起こそうとしたが、痛みに遮られてしまった。

春風の使い（１）

「まだ傷は完治していないんですから、無理はなさらないで下さい」
「あー…なんで俺がこんな目に」
「そもそも今回のことは、どう考えても大王様に責任があるでしょう」
「あー」
「そろそろ自分の立場について、お考えになってはいかがですか。仮にも、この国の大王でしょう」
「あー」
「…生返事ばかりでは、いつまでも"自称"大王のままでしょうね。大王様」
　前々から、これに近いやり取りは何度もなされている。
　俺を叱咤する目の前の若い男は、俺がこのプププランドの、…"自称"大王として頂点に立ったときの、古くからの忠臣なのだが。その口やかましい性格が故か、とにかく説教が多く――俺はいつも聞き流しているが――その内容も、似たり寄ったりのことが多い…これに関しては、俺が文句できる立場ではないだろうが。
　若いくせに、なんとも爺臭い奴だ。何度、そう思っただろうか。


「聞いておられますか、大王様」
「あー」
「全くもう」
　一つ、大きなため息を吐かれた。
「―いいですか。貴方は、曲がりなりにも『大王様』として、この国におられるんです。ほかの国ならともかく、どこまでも安穏としたプププランドであればこそ、これだけ呑気で我侭放題な、体たらくの"自称"大王でも暮らしていけるだけなんですから」
「呑気で我侭放題なのは認めるが、体たらくとは、…酷い言い方だな」
「全部本当のことです」
「もっと柔らかい言い方があるだろう。例えば―」
「大王様はこれくらいの言い方をしなければ、聞く耳持たないでしょう」
「話をさせろ。お前は…口が減らない」
「それは貴方の方でしょう。それから、こういう時の正しい言い方は『口が過ぎる』です」
「何が違う」
「貴方の言い方だと、私はへ理屈ばかりこねる口先男になってしまいます。私が今まで、道を外すようなこと、申しましたか」
「…うーむ」
　どうにか言葉を捻り出さんとしたが、観念の唸りばかりが前面に出てくる。口の達者で知識もある彼は、どんな言葉で攻撃しても、必ずそれ以上の言葉を返してくるから、不器用な俺は特に、彼を論破するのは不可能に等しいだろう。


「話が大きく逸れました。まずとにかく、その怪我を治さなければならないんですから、しっかり養生なさって下さい」
　跳ね除けてめくれ上がった毛布を俺の体にかけ直し、そのまま身を翻す。
「こんな話はその後です。…朝食のお時間ですね。食事を持って来ます」
と言って、扉の方に向かってしまった。扉の取っ手を握り、こちら側に開いた。錆びてきている蝶番の軋む音が、部屋を埋めた。
　彼は話の切り上げ方も上手だ。俺が答えに悩んでいる間にさっさと話題を逸らし、俺が話をする前に切り上げてしまう。
「あ、また無理に起き上がろうとしてはいけませんよ。ベッドの寝心地が悪いからって」
　だから俺は今まで口喧嘩で勝てたことはない。きっと、これからも勝てない気がする。


　静かになった部屋には一人の怪我人と、腹鳴りのよく響く音が取り残された。腹の虫が暴れている。いつの間にやら、太陽は東の端から大きく離れていた。
「とりあえず、朝メシを待つことにするか」
　背中が痛いが、伸びができない。それも、仕方のないことだと諦めた。
　誰に言うでもなく呟いて、固すぎるベッドに倒れ込んだ。








　俗に言う処女作だから、良くない点についてはなじらないで下、さ、い